南北に長く、周囲を海に囲まれた日本では、春夏秋冬と呼ばれる四季のもとで、野と山と海の幸がもたらす季節の恵みを楽しむ食文化が発展しました。
また日本人は、古来より季節感を大切にしながら生活を育み、暮らしを彩っていくなかで、様々な暦を使ってきました。立春や夏至、秋分など季節の訪れを表現する「二十四節気」やより繊細に季節の移り変わりを表現した暦「七十二候」など、暦は季節を伝えるとともに農作業の目安としても利用され食文化に大きく関わってきました。
「四季のTeishoku」では、四季折々の食材が伝える季節感を楽しむことの魅力を、日本人の日常食である定食(Teishoku)で表現するとともに、現代に受け継がれる暦と食の関わりを紹介いたします。
京都ではさば味噌といえばいろいろな味噌を使いますが、
今回はきりっとした風味の八丁味噌にしました。彩りのアクセントに九条葱を添えます。
(2人分)
- さば(切身)
- 2切れ
A
- 水
- 1カップ
- 砂糖
- 大さじ2と1/2
- みりん
- 大さじ2
- 酒
- 大さじ1と1/2
- しょうが(薄切り)
- 4〜5枚
- 味噌(八丁味噌)
- 大さじ2
- 九条葱
- 適量
- ❶さばは皮目に「X」形の切り目を入れます。
鍋で沸騰させた湯にさばをくぐらせ、身の色が変わったらざるに上げて霜ふりにします。 -
❷
鍋にAを入れて中火で煮立て、皮目を上にしてさばを並べて入れます。再び煮立ったらアクを取り、煮汁をさばにかけます。落としぶたをして弱火で5〜6分煮ます。
煮汁を煮立ててからさばを入れることで、臭みがなくなります。
- ❸味噌に煮汁を少し加えて、溶きます。
- ❹❸の味噌を鍋に加え、溶き混ぜます。中火でふたをせずに5〜6分煮て、煮汁を煮詰めます。さばを器に盛り、煮汁をかけて九条葱を飾ります。
ワンポイント
味噌は香りを残すために、後から入れます。
味噌はだまにならないようによく溶きましょう。
小海老と三つ葉の茎を合わせたかき揚げです。
さくさくの衣の中で、小海老の甘みと三つ葉の香りが広がります。
秋といえば松茸です。
香りだけでなく食感も楽しめるように、松茸は少し大きめに。今回は濃口、薄口醤油を両方合わせ、全体の旨味を引き立てました。
京都ではお吸い物をよくいただきます。
新物のさつまいもに、つるむらさきの葉を合わせました。
茶道武者小路千家家元の長女として京都に生まれ、同志社大学で美術史を専攻、陶磁器の研究に携わる。茶懐石料理の第一人者だった母に料理を学び懐石料理をベースとしつつ、自らも海外に積極的に出かけ、世界各国の食材や調理法を取り入れるなど、現代家庭でも作りやすくアレンジした数々の料理で“和の食と心”を伝えている。
一般社団法人和食文化国民会議(略称:和食会議)副会長。
毎年11月23日に行われる新嘗祭は、秋の収穫に感謝する行事です。
飛鳥時代(7世紀)から始まったとされ、宮中をはじめとする全国の神社で執り行われます。新嘗祭の「新」は新しく獲れたお米を、「嘗」は味わうことを表しています。宮中では天皇陛下がその年に獲れたばかりのお米を食し、天照大御神や八百万の神々に豊かな 実りの感謝を捧げ、五穀豊穣を祈ります。
新しい天皇陛下の即位後、初めて行われる「新嘗祭」は「大嘗祭」と呼ばれます。
前回の大嘗祭は、今上陛下が即位された1990年に行われました。大嘗祭は即位された新しい天皇陛下が最初に1度だけ執り行う、重要な儀式とされています。前回の式典では、世界各国から多くの元首が招かれました。2019年には譲位が予定されているため、 今上陛下が執り行う新嘗祭は2018年が最後となります。
長い歴史をもつ新嘗祭は、戦後「勤労感謝の日」となり、現在国民の祝日に制定されています。
写真提供:伊勢神宮
神嘗祭は秋の伊勢神宮で行わる祭典です。
その年に収穫したお米を、天照大御神に捧げ、その恵みに感謝します。神嘗祭は新嘗祭より早い、毎年10月15日から10月17日に執り行われます。
儀式では午後10時と午前2時に「由貴※1大御饌 (ゆきのおおみけ)」と呼ばれる、特別な神饌が供えられます。 「大御饌」は立派な食事という意味で、伊勢神宮にある神田で収穫された新米や御餅のほか、海や山の様々な食材や白酒黒酒 (しろきくろき) を捧げます。 正午には宮中より勅使を迎え、天皇陛下からの幣帛※2 (へいはく) を天照大御神に奉る「奉幣の儀」を行います。
※1 : 由貴とはこの上なく神聖清浄で貴いことを意味します。
※2 : 幣帛とは神に捧げる供物です。
- 10月15日〜10月17日
- 三重県伊勢市宇治館町1