心地良い風が吹き、太陽光の強さが変わり始める5月。
二十四節気の“立夏”を迎えると、暦の上での夏が始まります。"夏が立つ"という文字から読み取れるように、夏の気配を感じ始めるのがこの季節。春分と夏至の中間に位置する"立夏"は、天文学上「太陽が黄径45度に達した時」と決まっているため、毎年日付が変わり、5月5日前後となっています。
"花冷え"と呼ばれる春の肌寒さを乗り越えて迎えた、新緑が青々と茂るとき。気温の変化に少しずつ体を慣らしていくためにも、旬のものをいただいて、体の内側から体調を整えていきましょう。
今回の主菜は、優しい酸味がアクセントになった鶏南蛮。ご自宅で楽しむことができるよう、わかりやすいレシピつきでご紹介します。
慣れない暑さでぐったりとしてきたら、食欲増進や消化吸収を助ける酸味が欲しいところ。彩り豊かな夏野菜をたっぷり使った鶏南蛮は、甘味と酸味両方が味わえる南蛮酢と、薄くスライスしたすだちで、からりと揚げた鶏肉をさっぱりいただける一品です。
- 鶏モモ肉1枚
- 塩少々
- 天ぷら粉適量
- 揚げ油適量
- 玉ねぎ1/2
- パプリカ1/6
- スナップえんどう6
- だし1カップ
- 酢大さじ4
- うす口大さじ4
- みりん大さじ 1
- 砂糖大さじ4
- 塩少々
- すだちのしぼり汁1個分
- 赤唐辛子(輪切り)少々
- ❶鶏モモ肉は縦に2つに切り、肩身各々を一口大にそぎ切りします。
- ❷玉ねぎは半月の薄切りにします。
- ❸パプリカは、縦1cm 幅に切り、さっと茹でます。
- ❹スナップえんどうは筋をとり、塩茹でして、ななめ半分に切ります。
- ❺パットに南蛮酢の材料を合わせ、❷、❸、❹の野菜を浸します。
- ❻❶の鶏モモ肉に軽く塩をふり、天ぷら粉を薄く全体にまぶし、180℃に熱した揚げ油でからりと揚げます。
- ❼揚げたての鶏モモ肉を➎の南蛮酢に入れ、味を含ませます。
- ❽器に鶏モモ肉と野菜を盛り合わせ、スライスしたすだちを添えて出来あがり。
7月後半から8月頭にかけての"土用の丑の日"に、 うなぎを食べるという方も多いのではないでしょうか。 今回の『四季の定食』では、関西で“まむし”と呼ばれるうなぎと、 夏の新ごぼうを合わせて、オリジナルまむしご飯に仕立てました。
なぜまむしと呼ぶようになったかは諸説ありますが、ご飯にうなぎを まぶす“まぶしご飯”が訛って、“まむしご飯”になった説が有力。 香りが強く柔らかい新ごぼうとともに、風味豊かにいただきましょう。
たくあんや古漬けの塩分で、きゅうりなどの 野菜を漬けたかくやは、食欲のないときに ぴったり。特に冷たいものを摂取することで 弱りがちな腸には、植物性乳酸菌を発酵させた 古漬けがおすすめです。
今回から、和食を楽しむひとつの要素である器に注目。
後藤先生に、料理と器の関係についてお話を聞いてみます。
食材の味や盛り付けだけでなく、器を"味わう"のも和食を楽しむ秘訣。
和食器には焼き物や塗りなど多くの種類や形があるため、取り合わせの"妙"を楽しめるようになるには、まず基本を学ぶことが大切です。例えば美術館に足を運び、先人たちが作り上げた"本物"を見ることもいいでしょう。基本を学んだ上で、自分が揃えることができる器で実際に盛り付けてみることが、料理を引き立てる器の使い方を知る最善の方法です。
和服や洋服と一緒で、食器もトータルコーディネート。
料理からお皿を考えるだけでなく、使いたいお皿を決めて、
あそれにどんな料理を入れたいのか考えるのもおもしろいですよ。
難しく考えるよりも、使いながら、失敗しながら、学んでいくことでセンスが磨かれていきます。
器に意識を向けることで、いつもの食卓をより豊かなものにしていきたいですね。
茶道武者小路千家家元の長女として京都に生まれ、同志社大学で美術史を専攻、陶磁器の研究に携わる。茶懐石料理の第一人者だった母に料理を学び懐石料理をベースとしつつ、自らも海外に積極的に出かけ、世界各国の食材や調理法を取り入れるなど、現代家庭でも作りやすくアレンジした数々の料理で“和の食と心”を伝えている。
一般社団法人和食文化国民会議(略称:和食会議)顧問。