世界には様々な米料理があります。
米は炊くだけでなく、煮る、炒める、蒸す、粉にする
など、いろいろな料理法があります。
その土地でとれた米を
おいしく食べるために、そこに暮らす人々が試行錯誤を繰り返し
生み出した、代表的な米料理の数々をご紹介します。
現代の日本に暮らす私たちは、白い米を食べています。
真っ白な米は、玄米を磨く精白技術の賜物です。
古代は収穫した米を器に入れて棒で突き、籾殻を外す「籾摺り」と玄米の皮を取る「精白」を同時に行っていました。
茶色い玄米の皮を落としきれない米は、真っ白には炊き上がりません。私たちの祖先は米づくりを続ける中で、白い米を実らせる稲を選びとり、一粒ひとつぶをより白く仕上げる技術を追求してきました。
白は純粋や無垢を象徴する色です。
神社で神主が身につける衣装が白であること
からもわかるように、古来より白は穢れのない、
神前にふさわしい特別な色とされていました。
毎年の収穫を感謝して神に捧げる米も、
より白いものが珍重されてきたのかもしれません。
雑味がなく飽きない味わいのごはんは、
白い米だからこそ。
食事の中心に米がある和食では、白いごはんは
どんなおかずもおいしくするのです。
「米を食べる」というと、日本人の多くはお茶碗によそった炊きたての白いごはんを思い浮かべるのではないでしょうか。日本では米を水だけで調理し、米本来の白い色と味わいのままに炊き上げます。
この白いごはんを主食とし、いろいろなおかずと組み合わせて食べるスタイルが「定食」です。白いごはんとおかずを一緒に味わう「口中調味」を行うことで、ごはんとおかずの組み合わせが織り成す、おいしさの相乗効果を味わうことができるのです。
粒のままではない米の食べ方には、お餅や米粉があります。
米粉は和菓子などに使われています。
世界の国々では、米を粒のまま食べるのが主流で、米に味をつけて調理することが多いです。米を炒めた魚介類と一緒に炊き込むスペインのパエリア、茹でた米をスパイスで味付けした肉や野菜と蒸しあげるインドのビリヤニ、米を牛乳やブイヨンで煮込むリゾットなど、具材の味や香り、色が染み込んだ米をおいしく食べる調理法が発達しています。東南アジアにはラオスのようにもち米を主食とする地域もあり、そこではおこわのように蒸しあげたもち米が食べられています。
米を粉にして食べる料理には、ライスペーパーや米粉でつくる麺があります。
2016年に農林水産省が実施した食生活の調査で、ひと月の間に米を1度も食べない20代男性は約2割という結果がでました。食文化が多様化する中で、手軽なパンや麺類などを食べる若い世代が増えているといえるでしょう。日本全体でみても、米食は減る傾向にあります。
農林水産省によると、昭和37年には国民1人あたり年間118kgの米を食べていましたが、平成25年には57kgになっています。日本人が食べる米の量は、50年で半分にまで減ったことになります。
日本国内と異なり、海外では米食が注目されています。平成25年にユネスコの世界無形文化遺産に和食が選ばれると同時に、世界各国で鮨ブームが起こりました。「和食はカロリーが低く健康によい」というイメージが広まり、和食の中心にある米食に親しむ人が増えています。日本から世界に飛び出した和食は、これから様々な国で新しい米食文化を生み出すのかもしれません。