アメリカで料理学校に通った後、2011年に富士山の麓にあり、茶畑が広がる伊豆の国でホームステイをしました。私が初めて食べたお弁当は、伊豆に行く途中に東京で買ったもの。名前は覚えていませんが、そのとき買った駅弁の写真を撮ったことを覚えています。

お弁当の味や、中身の個々の特徴に感動しました。
アメリカの空港などで買える食事は、あまり美味しくないんです。でも日本は、駅で買えるのに美味しい。カルチャーショックでしたね(笑)。

奇数、特に五を大切にする日本人が考えた、
「五法 (生[切る]、煮る、焼く、揚げる、蒸す」
「五味 (甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、辛い)」
「五色 (白、黒、黄、赤、青[緑])」
「五適 (適温、適材、適量、適技、適心)」
「五覚 (視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)」という和食の基本に感銘を受けて、健康的な食事もこれらを取り入れれば、さらに楽しくなるのではないかと思ったんです。そこでファーマーズマーケットで買える地元の食材を使って、健康かつ美味しい食事を提供したいと思い、お弁当屋さんを始めました。特に「五法」「五色」「五味」を意識したお弁当を作っています。

一番の売れ筋は、チキンサラダ。オーガニックの鶏肉を一匹ローストして、肉汁からドレッシングを作り、ホームメイドのディルピクルスとパセリを混ぜ、それらを新鮮な旬の野菜と合わせています。きっとアメリカの定番メニューだから、人気があるんでしょう。それに和食の基本を加えると、ただのチキンサラダとは異なる“特別なもの”になりますから。二番目の売れ筋は、スモークサーモンのちらし丼です。

現在、ケータリングやファーマーズマーケットのブース、ジムにあるコーナーを運営していますが、いつかは店舗を構えたいと思っています。お客さんが実際にお弁当を買いに来たり、店内で食べたりできるようにしたいですね。