この夏、一番の暑さと言われる7月中頃。出版業界から始まって、今もフォトグラファーやモデルエージェンシー、インテリア関係、そしてソフトウェア会社など、その時々のカルチャーのトレンドを作り出す会社やグループが集まるユニオンスクエア界隈で古くからランチプレースとして人気のEnnjuでお弁当を買っているニューヨーカーにお弁当 についてインタビューしました。
まずはエストニア出身の建築家Kadri。
お弁当が並ぶと同時にお店に入ってきて、Ahi Poke Don (アヒポケ丼)を迷わず手にし、レジに向かおうとしているところをキャッチ。
「初めてアジアに旅行した時にお寿司を知ったの。その後すぐお寿司が人気になり、新鮮な魚がエストニアでは手軽に手に入るからか家でも作ってたわ 」と、意外な意見。「お寿司屋さんに行くと高いけど、お弁当だと安くて手軽に食べることができるから週に1回くらいは来るかしら」。
Ahi Pokeはハワイのマグロ料理。日本の「マグロ漬け」ハワイ風と言ったところでしょうか。このアヒポケ丼は、この日の一番人気 。
「さっぱりしていてサラダ感覚。満足できるのに、お腹がいっぱいで苦しいって感じがしないから、夏の暑い時にもちょうどいいし、お昼にはぴったり」。
ソフトエンジニアのTylerも、彼に週に2〜3回はアヒポケ丼を食べているとからかわれていた同僚のAxelも同じ意見。二人とも「日本食、特にお寿司が大好き。お弁当ボックスに入っていると、忙しい時でもオフィスに持ち帰ってさっと食べることができるから便利だよね!」。
コンピューターの前で仕事をしながら ササッとランチを済ませてしまうニューヨーカーならではの習性に、小さくまとまったお弁当箱メニューは理想的スタイルなのです。
真剣に選んだ結果、黒米のいなり寿司と、アスパラガスときゅうりのお寿司を購入したAlexaは、常連組みに混じって、今回初めてお弁当を試しました。
「小さな箱に綺麗に盛り付けされているしヘルシーそうだから選んだの」と蓋を開けて中身を見せてくれました。お箸の使い方を見ていると和食好きなのは一目瞭然。中華弁当なども利用するけれど、基本は日本食だそう。
色々な人種と色々な国の食文化が混じり合っているニューヨークで長く続いている店だけあって、口の肥えているニューヨーカーにも納得してもらえる日本食風の味だけど、アメリカ人好みのメニューも取り入れアレンジしているよう。
営業マンのStephanは筑前煮とチキンがメインになったお弁当を選び「野菜とチキンが一緒に入って出てくるランチボックスって他にはなかなかないよね。日本食が好きだけど、お弁当はレストランで食べるより手軽でリーズナブル。しかも、家庭の味って感じがする。普段は玄米を選ぶけど、今日は白米で。日替わり弁当は僕のお気に入り。以前は同じ通りにオフィスがあったから毎日来れたけど、今はちょっと離れたから」。
それでも週に1、2回は利用しているとのこと。
ヘルシー志向のアメリカ人は多く、彼らにはお弁当は人気アイテムです。
次は、近所にある広告代理店勤務のGianとIlanaのカップルがインタビューに答えてくれました。
Ilanaは「普段、ランチを食べないけど、お弁当は好きよ」と。一方、彼氏のGianは正真正銘のお弁当好き。その理由は肉、魚、野菜、ライスが全部入った完全栄養食だからとか。
「母がフィリピン人で、家で 作ってくれた食事を思い出すんだよね。
ほとんど毎日、お弁当を買ってるよ。僕はエクササイズもしっかりしていて身体を鍛えてるから、野菜だけじゃなくて、蛋白質もしっかり食べたい。だから、魚も野菜も入ったお弁当が一番」。
そんなに毎日、食べてて会社の人に何か言われないの?と尋ねたら「お弁当ボックスを持って エレベーターに乗ると、みんなが何?って興味津々で話しかけてくるよ。だから、『完全栄養食のランチだよ』って説明するんだ」。仕事柄かお弁当の広告塔になってくれているようです。
最近はBento Boxとしてお弁当箱も売られていて、お弁当のレシピ本なども買っていく人が増えているというニューヨーク。 以前は高級で特別な時に食べるイメージが強かった和食ですが、お弁当の登場により日本食という枠にはまらず、いろいろな世界のメニューで飽きることなく、そして栄養素をバランスよく網羅していて、コストもリーズナブルだから毎日でも食べて大丈夫・・・。
この《everyday感覚》が、本当の意味でのヘルシー志向を身につけてきている若い世代に受けているのが人気の秘密のようです。
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