プレナスの米づくり ― 持続可能な日本の食と農業のために ―

2025.12.15

私たちは2021年2月より、「生産の現場から食の持続可能性を支える」という使命のもと、米づくり事業を進めています。

今年で5年目を迎えた現在、埼玉・山形・大分に農場を広げ、様々な課題の解決に挑戦し続けています。

米文化を未来へつなぐ、プレナスの挑戦

プレナスの米づくりは、原料調達にとどまらず、食文化を未来へつなぎ、持続可能な社会を築くための挑戦です。私たちは「ほっともっと」「やよい軒」などを通じて、日々多くの食卓を支えています。一方で、農業人口の減少と生産者の高齢化、耕作放棄地の拡大により、日本の主食であるお米を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

この傾向が続けば、地域の田んぼは縮小し、日本人の食の根幹である“米文化”(稲作・食習慣・地域の営み)そのものが揺らぎかねません。こうした課題に向き合うために、私たちは「生産の現場から食の持続可能性を支える」という使命を掲げ、米づくりに取り組んでいます。

持続可能な米づくりを目指して~栽培モデルの標準化~

米づくりへの参入は、専用の機材にかかる費用、作業負荷(時間・習熟)、人材確保など壁が高く、その結果、農業人口の減少と耕作放棄地の拡大を招いてきました。
この課題の解決には、費用を抑えつつ、誰でも技術を継承できる仕組みが不可欠です。そこで、スマート農業を導入し、栽培モデルの標準化を進め、作業工程の再現性と費用や時間の効率を高めています。

具体的には、使用機材をドローンに集約することで、田植え機など専用機材に必要な費用や操作習得の負担を低減。また、AIの活用によって栽培精度も向上しました。試行錯誤と継続的な取り組みの結果、今年は作付け面積当たりの収穫量が過去最高を更新。田植え機を用いない米づくりでありながら、従来と同等の収穫量を実現しています。
この成果を踏まえ、得られた知見や手順をマニュアル化し、「誰が実施しても同じ成果が得られる米づくり」の基盤を固めています。

 
 

可視化されたデータによる管理

AI搭載の栽培管理支援システムで圃場(注1)のデータを可視化し、判断の標準化を進めています。導入当初は、ドローン画像を人手で解析して生育状況を確認していましたが、現在は人工衛星画像を自動取得・解析し、生育の偏りを即時に把握できるようになりました。これにより、肥料・農薬を必要な区画に必要量のみ散布でき、作業時間の短縮と資材使用量の削減につながっています。

水稲栽培では、圃場の水管理が不可欠ですが、この水管理は難易度の高い工程でもあります。私たちは水位センサーで水位を可視化し、共通の基準で水管理ができる仕組みを整えました。浅水(注2)や落水(注3)の最適なタイミングを標準化することで、安定した米づくりにつなげています。

注1:圃場(ほじょう) 農作物を栽培するための田畑。ここでは田んぼを指します。
注2:浅水(あさみず) 田んぼの水位を浅く保つ管理。初期生育の根張り促進のために行います。
注3:落水(らくすい) 田んぼの水を抜くこと。収穫前や中干し時に行い、根を強くし稲が倒れるのを防ぎます。

ドローンによる肥料・農薬散布や直播

ドローンの導入により、広い圃場でも短時間で高精度な散布が可能となり、人手と専用機械の稼働を抑制できています。
さらに、ドローンを用いた直播(注1)により、苗床の確保や水やり、育った苗の運搬といった田植えの前工程を省略し、省力化と作業効率の向上を実現しました。一方で、直播は均一に種をまかないと、うまくお米が育ちません。しかしながら、ドローンでの種まきは風・飛行経路・高度・速度などの影響を受けやすいという課題があります。これに対し、発足時から関係者と協働して、飛行パラメータの最適化や、散布量を継続的に検証。現在では、従来の田植えに匹敵する収穫量を安定して達成できる水準まで精度を高めています。

注1:直播(ちょくは)  苗を育てず、種を直接田んぼにまく栽培方法。苗床づくりや移植工程を省けます。

地域に根差した取り組み

大分県の農場は、地域の農業法人から稲作事業(農場・機械設備)の承継について相談を受け、自治体や関係法人と協議を重ねた上で、土地と設備を引き継いだ拠点です。プレナス社員主体の運営体制を整え、土地・設備の活用を継続。こういった事例を通して作付面積は年々拡大しており、耕作放棄地問題の解決にも寄与しています。
各農場では、地域と協働し、水路や農道の清掃など、田んぼの維持活動にも継続して取り組んでいます。

また、農場は、地域の皆さまが米づくりを体験する場にもなっています。
小学生の社会科見学を受け入れ、スマート農業を紹介。親子参加型イベントでは、田植え・稲刈りを体験していただいています。

 
 

未来へのビジョン

こうして私たちが育てたお米は、オーストラリアとシンガポールの「やよい軒」で提供されています。「日本の田んぼで育ったお米が、海外の食卓で“日本の味”として楽しまれる」。これは、持続可能な形で日本の食文化を世界に届ける新たな挑戦です。また、国内では子ども食堂への寄付などを通じて、地域社会にも貢献しています。

日本全体で進む農業従事者の減少や高齢化は深刻ですが、プレナスはこの課題に正面から向き合います。私たちが試行錯誤を重ねて築いた栽培の仕組みを活かし、人材育成や技術支援へと展開することで、取り組みの輪を広げ、日本農業の課題解決を進めていきます。次の世代へ豊かな食文化を受け継ぐことが、プレナスが描く“持続可能な日本の米づくり”の未来です。
その実現に向け、誰が実施しても同じ成果を得られる米づくりを広げ、農作業の効率化や生産性の向上を着実に進めていきます。

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